絵の道具を買いに街に出た。
とは言っても、私が使うのではない、週末に開いている児童絵画教室の子供たちに使わせる物だ。
当初は2、3人だった生徒も、決して多いとは言えないが、最近は少しずつ増えてきた。
恥ずかしながら、画家としての本業が芳しくない私にとって、週2回のこの絵画教室が生活の貴重な収入源になっている。
とは言え、場所の使用料と、スタッフのバイト代と、こんな道具代を差引くと手元に残る金は決して多いとは言えない。
だからと言って、子供達に安物の道具を使わせたくはない。
弘法大師も「能書は必ず良筆を用いふ」と言われたではないか。
(※ご存知ない方はググられるべし。)
私の様な腕のある者なら話は別だが、未熟な子供たちは、画が道具の良し悪しに影響される部分が多い。
だからこそ道具をケチるという事は、彼等の可能性をケチることと等しいのだ。
これが画家として、指導者としての、私の譲れない一線である。
とは言え、授業料が高いと不満を言う親もいるのだから、、、
やはり正直者は馬鹿を見るのであろうか。
©2023 MuedShi